ソウルたより ~プロローグ~ 私が日本から持ってきている物の中に、この古ぼけた写真がある。 平成10年に亡くなった父の写真です。写真のコピーですから変色しています。 私が幼稚園児の頃からの家業は輸出業で、 自動車につけるパワーアンプやグライコを作っていました。 父が設計し、試作品を作り、ラスベガスなどのショーに持って行き、 バイヤーを探してくるわけです。 1ドルが360円の時代、幸いのことにそれらの製品はとても良く売れ、 物心着いた頃から、両親はいつも仕事。という環境でした。 その時代、よその家庭では夕食の後、家族の団欒がお決まりでも 私のうちでは、夕食が済むと両親は階下の工場(コウジョウなんて規模ではなく コウバ程度のもの)に降りて行き、遅くまで仕事。という感じでした。 1ドル240円くらいの頃に輸出に見切りをつけ国内向けの物に変わりましたが、 忙しさに変わりはありませんでした。 私は一人で過ごす時間も長く、勉強にも身が入らず、 絵を書いたり、ただ遊んでいました。 この期間に一人で時間を送ることが身についたのか、 見知らぬ外国でも一人で過ごすことになんの苦もありませんでした。 今でも一人で居る方がホッとする事が多いようです。 父は根っからの模型好きで、事業が安定してからはラジコンなどを趣味としていました。 特に飛行機が好きで、50ccくらいまで飛ばしていました。 また電車、機関車も熱心でした。 父が亡くなった後、倉庫から火付け用の薪が沢山出てきて、(機関車用の薪) これを全部焚くくらい楽しんで貰いたかった…と悲しみました。 機関車にまたがる父。 いまでも、会いたいな…と思うことがあります。 忙しい両親のもと、寂しい思いもしましたが、生前の父がどんなに働いたかは、 死後17年経ったいまでも私がこのように呑気に暮らしていることを持って、語るより明らかな気がします。 もう一枚の写真は両親がアナハイムで撮ったもの。 76年となっていますから、最後のコンベンションの時かも知れません。 母は在命です。 以後「ソウルたより」と題して、主に韓国の美味しいものをお便りします。 ここしばらく日韓関係が良くありませんが、現地で長く暮らして居ると 良くなくて当たり前、良くならない方が身の為…と感じることも有ります。 その辺の事情の話も書く時があるかも知れませんが、 年間の90%を日本人が一人も居ない環境で過ごす私の正直な感想です。

先日、昔の会社の同窓会が東京プリンスホテルで開催されました。 懐かしい方々が250名も集まりました。 その中にソウルから駆け付けて下さった田中貴子さんがおられました。 小生が40歳の頃２年ほど購買課に在籍されておられたようです。 大変申し訳ないのですが、小生は思いだせないのですが 「ソウルたより」をHP「焚火庵日記」に投稿して下さるというので喜んで 友人コーナーに「田中貴子さん」のコーナーを新設させて頂きます。 2005年からボストンのm&mさんが、2007年からシドニーからシドニー・ボーイさんが 友人コーナーに登場して下さり沢山の楽しい情報を送ってくださり、今や「焚火庵日記」の 人気コーナーになっております。 これからは、ソールからも楽しい情報が入って来ます、皆さんお楽しみに！ (2015.07.26　dora記)

田中貴子 昭和35年 世田谷区生まれ。 幼い頃から努力が苦手で勉強嫌い。 よって高卒。 実家は電子機器製造業。実父が創業し実兄が継いでいる。 また、2005年よりスケール1/5ラジオコントロールカーも製造販売。 昭和54年松下技研入社するも 自分の無能と無学に悩み56年退社。 結婚後1女をもうけ、主婦として遊び暮らす。 夫と飲食店も経営し、この時は自分なりに努力をする。 平成10年実父が逝去。享年66歳。 これを機に、人生は長く無い。と実感。 良き妻、良き母で生きるより、自分の人生を生き、 明日死んでも後悔しない一生にしよう！と密かに思う。 偶然な事で韓国語の勉強を始める。(韓流がモチベーションではない) 1年間の学習の後に検定試験を受け、400点満点中390点台で合格。 すっかり気を良くし、初めて訪韓する。 この頃から実家の会社でLED蛍光管やライトパネルを韓国から買うようになり、 言葉が自由な私が中間に入ってやりとりを始める。 2010年に韓国人女性と仲介業を始めるがその女性が会社のお金を私用してしまい、 あっけなく幕を閉じる。 その後もソウルへとどまり日本企業の御使い、小間使いをして過ごす。 2014年知り合いに請われて中国江蘇省の公司に入るが、 共産国のやり方について行けず2015年、またソウルへ戻り今に至る。 ざっと書くとこれが私の履歴です。